株が買われると通貨は上がるの?株式市場と為替市場の関係性をわかりやすく解説!

FXトレードでは、国の景気や経済の見通しなどの情報をもとに売買の判断をする「ファンダメンタルズ分析」が欠かせませんよね。

じゃあ、国の経済を表す指標ってなんだろうとなるわけですが、たぶん真っ先に出てくるのが「株価」ではないでしょうか。

投資というジャンルにおいて、FXと株は並べて語られることが多いです。

投資をあまり知らなくて否定的な人がよく口にする「株やFXはギャンブルだ、やめとけ」みたいな感じで、FXと株は似たもの同士のように扱われることがありますね(笑)

実際、株とFXの値動きには相関関係があります

株とFXの値動きには相関関係がある

もちろん公式的に覚えて「株が上がったら通貨はどうなる」みたいにパッと頭に浮かぶことは大切ですが、今回は「なぜ」「どうして」という部分まで深掘りして解説していきたいと思います。

株とFXの関連性を理解するだけで、確実に見える景色は変わります。そして相場分析にこの考え方を取り入れることができれば、FXのトレード収支も目に見えて改善されるでしょう。

株式市場と為替市場の関係性

株も為替も国家の経済を支えるもので、この2つを抜きにして世の中の経済を語ることはできませんね。

株式と為替は国の経済の根幹

FXは「為替市場」、株は「株式市場」と、どちらにも「市場」という言葉がついていて、為替も株式も市場で取引される商品であることがわかります。

両者ともに経済の根幹をなすものだということをまずは理解しましょう。

株=市場で売買される商品

市場で売買される株は、どうやって価格が決まるんでしょうか?

言い換えると「どうなれば買い手が多数現れて価格が吊り上がって、どうなれば買い手がつかず価格が落ちるのか」ということですね。

これはつまり、株の価格は企業の価値を数値化したようなもので、業績や将来性など、企業が利益を安定して出し続けられそうか、あるいはそのポテンシャルはあるか、という要素で価格が決まります。

一言でいうと企業価値を表すので、株価は上がれば上がるほど良いわけです。

株価は上がれば上がるほど良いとされている

実際に、あるきっかけで株価が急激に伸びて10倍に達する「テンバガー」と呼ばれる銘柄もちらほら目にするくらいです。

一方、FXはある程度のレンジで調整されるので、高ければいい、安ければいいと一概には言えませんね。

当然ですが、通貨価値が10倍、20倍と高くなったり安くなったりしてしまうと経済は大混乱してしまい物価が安定しなくなります

僕も、家賃が5万円になったり100万円になったりするのは勘弁してほしいです(笑)

だから完全に株式相場と為替相場が連動するわけではないのですが、とはいえ相関性はあります。

なぜでしょうか。

株を買うためには現地の通貨が必要

市場で取引(トレード)が行われる商品なので、株は当然ですがお金で買います

1ドル紙幣

スーパーで野菜を買うのと同じ感覚ですね。

では日本のスーパーで200円の大根をレジに持って行って、2ドルを支払ったらどうなるでしょう?

当然店員さんに止められるか、ニセ通貨を使った疑いで連れていかれるかもしれません。

日常的なお買い物と同様、その国の株はその国の通貨でしか買えません

株高=通貨高になりやすい

つまり、米国株を買おうと思ったら現地通貨のドルを買って、そのドルで米国株を買うしかないということです。

だから、米国株を買うということは、自然とドル円のロングをすることになるわけですね!

逆も同じで、米国株の下落時にはドルも下がる傾向にあります。

日本は例外

大抵の先進国の場合は「株高=通貨高」の公式が成り立つことが多いですが、なんと日本に限っては例外的に逆パターンになりやすいんですよね。

つまり「株高=通貨安」「株安=通貨高」になったりしやすいという側面があります。

これは日本が抱える独特な問題によるところがありますが・・・順に説明していきましょう。

理由1:輸出企業が多い国だから

大きな理由として挙げられるのは、日本が輸出大国だからです。

日本は輸出企業が多い

輸出の中で特に大きな割合を占めるカテゴリーは自動車なので、自動車を例に説明します。

例えば日本が自動車を海外に輸出する場合、販売価格を1万ドルとすると・・・

1台売れたとして売上1万ドルが手元に入ってきますね。

貿易では決済通貨が米ドルですが、日本円に両替して初めて、日本国内で使えるお金として手元にくることになります

  • 1ドル=100円の時、売上を円に換算すると100万円
  • 1ドル=120円の時、売上を円に換算すると120万円(円安になった)

こんなふうに、円安になると企業の売上が上がる=業績が良くなりやすい

という構図が成り立ちます。

企業の業績が良くなるということは、その企業の株が買われやすくなるわけなので「円安=日本株高」に動きやすいということです。

もちろん、逆も然りで、円高になると輸出企業は損をします。企業の業績が下がると考えられて株価が下がるということも起こります。

理由2:政策金利が低すぎるから

金利については別記事で解説してますので、それを読んでから戻ってきていただけると良いかと思いますが、簡単に説明すると

金利とは「お金の貸し借りをするときの利子」のことです。

銀行にお金を預けると預金金利というのがついたり、銀行からお金を借りると「年率◯%」という形で利子をつけて返さなければいけません。

結構身近に金利というものは存在するのですが、その中でも「政策金利」というのは中央銀行が一般の銀行にお金を貸すときの金利です。

中央銀行が政策金利を決定する

話が長くなるので詳しい説明はこの記事では割愛しますが、一般的には、株価が上がると景気が良くなるので、景気が過熱しないように中央銀行は金利を上げます

この政策金利を調整して、世の中に出回るお金の量を調整するのが中央銀行の仕事です。

そして金利の高い国の通貨は保有するだけで利子がたくさんもらえるので、金利が上がればその国の通貨は買われやすくなって最終的には「通貨高」を引き起こすのが通常の流れなんですよね。

日本でもこの「株高→金利高→通貨高」の流れが正常に起こればいいんですが、残念ながら日本は超低金利を長期間にわたって続けている国です。

株価が上がったところで、別に金利は上がらないだろうと考える投資家が多くて、円を保有するメリットがないんですよね。

だから、日本株が上がったからといって、日本円が上昇する理由にはならないということです。

ただし今のような超低金利政策は、日本の景気が悪くて景気を上げたいがために取られている政策なので、日本の景気が回復して金利が上昇してきた時には通用しなくなります

この記事を書いている2022年11月時点では通用しますが、その時々の経済状況によって判断しなくてはいけないということをお忘れなく。

米国株と日本株の相関性

相場の格言に「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」という言葉があります。

それくらいにアメリカの経済は日本経済にかなり大きな影響を与えているということですね。

日本に限らず、世界経済はアメリカを中心に回っているので、当たり前ですがアメリカの景気に左右されやすいということです。

米国株の上昇=日本株の上昇となりやすいですし、逆も然りというわけです。

まとめ

株とFXはどちらも一国の経済の根幹を支えるもので、切っても切れない関係にあります。

  • 株高=通貨高になることが多い
  • 日本は例外的に株高=通貨安になることが多い
  • 米国株上昇=日本株上昇になることが多い

米国株を買うのは、FXでドル円をロングすることと同じことですし、通貨は株を買うための手段・道具という見方ができますね。

証券会社で米国株を買う時には何回かボタンをクリックするだけで注文が成立するので実感が湧かないでしょうが、裏ではドルに交換してから米国株を買っているのです。

逆に売る時にはドルが手元に残りますが、その売却益のドルを引き出すにはドルを売る、つまりドル円のショートと同義になるということです。

為替相場と株式相場は一心同体というか表裏一体というかなんというか・・・

とにかくFXで安定して利益を出すためには両者の関係性を理解することは必須だと思いますので、しっかりと頭に入れてトレードを行いましょう!

復習:やってみよう
S&P500とドル円をそれぞれ日足で表示して、大きな流れを見てみましょう。
日本で株高=通貨高に結びつかない理由はなんでしょう?記事の内容を思い出して答えてみましょう。

どちらも今すぐできることなので是非やってみてくださいね!

FXトレードを行う際にチェックしたい株価指数を6つ紹介した記事がありますので、そちらも併せてご覧ください。

【要チェック】FXトレードで参考にしたい株価指数6選

ファンダメンタルズに関するまとめ記事はこちらです。

ファンダメンタルズ分析とは?FXで使える知識をまとめました!