FXトレードでは大口投資家の動きに注目しよう!月末は特に危険な理由も説明

あなたは「大口投資家に焼かれた」という言葉を聞いたことはありますか?

大口投資家というと、FX個人トレーダーを食い物にしているというイメージを持っている人も少なくないでしょう。

これは誤解ではありませんが、一方で長年プラス収支を継続している個人トレーダーもいます。その差はどこに生まれるのでしょうか。

In trouble

今回は大口投資家の存在について説明してみましょう。

結論から言うと、マーケットの主導権は大口投資家にあります

大口投資家の考えていることを理解して、それに追従するだけで勝ち残れるのです。金魚のフンのように、大口投資家の動きについていくことが大切です。

大口投資家とは

大口投資家には大きくわけて2種類あります。

  • 機関投資家
  • ヘッジファンド

この2つをまとめて大口投資家と呼びますが、ニュースなどでは「投機筋」という言葉が使われることもありますね。

1.機関投資家

機関投資家は保険や年金、銀行預金など幅広い国民から預かったお金を運用する大口投資家を指します。

GPIFのウェブサイトのトップページ

順張りで長期的

顧客から預かったお金をそのまま眠らせるのはもったいないので、運用して稼いでいるのが機関投資家です。

保険会社も支払われた保険料がすぐに必要になることはなく、大多数の人は保険料が必要になる機会はそうそうありませんよね。

だからすぐに必要ではないお金はなるべく運用して増やしたい。保険会社も投資会社ということです。

機関投資家の特徴は、堅実で負けない投資をするということです。

多くの国民から預かっている、いわば「公的資金」なので、いい加減な運用をして溶かしてしまうと大変な事件になってしまいます。

だから、決して逆張りはしません

これから伸びていくであろう市場に長期的に投資をする、順張りが主な運用方針です。

逆張り運用をしてしまうと、投資に失敗したときに説明がつきません。必ず根拠のある順張りを行って、失敗した際にも説明責任を果たせるように動いています

世界最大の機関投資家は?
余談ですが、世界最大クラスの機関投資家としては、日本の年金を運用しているGPIFというところです。運用金額は2021年度時点で約194兆円といわれています。
個人トレーダーがどれだけ頑張っても、資金力に関しては彼らの足元にも及びませんので、やはり大口に逆らってはいけませんね。

月末は機関投資家の動きに注意

赤ピンが留められているカレンダー

機関投資家はFXをバリバリやっているわけではなく、ポートフォリオを組んで手堅く運用しています。

たとえばGPIFは

  • 日本株25%
  • 日本国債25%
  • 米国株25%
  • 米国債25%

とポートフォリオを組んでいるとGPIFのウェブサイトで公表されています。

機関投資家はあまりアグレッシブに動くわけではありませんが、彼らは決まって一定期間ごとにポートフォリオの微調整を行うんですね。

この微調整のことを「リバランス」といい、リバランスが行われるのが年度末、半期末、四半期末、月末といったキリのいいタイミングなのです。

買った当初は全て25%ずつであったとしても、日本株が値上がりするとポートフォリオを占める日本株の割合が大きくなってしまったり、米国株が値下がりすると米国株の割合が下がってしまいます。

このときに日本株を売って米国株を買い増すことで、もう一度25%にバランスを整えよう、というのがリバランスです。

普段からあまりアクティブにトレードをしないため意識する機会が少ないですが、月末月初に謎の値動きに翻弄されて資金を溶かす個人トレーダーが一定数います

機関投資家の動きも相場に大きな影響を与えるので、存在を意識して月末月初のトレードは控えると良いでしょう。

2.ヘッジファンド

ヘッジファンドが見ているチャート

ヘッジファンドは、お金持ちから資金を預かって増やす大口投資家です。

こちらは公的資金を運用するというより「お金持ちのお金をさらに増やす」という目的で運用されているため、機関投資家よりもアグレッシブな投資を行う特徴があります。

莫大な資金力をもったトレーダー

ヘッジファンドは機関投資家のように長期投資を行うのではなく、売ったり買ったり、僕たちと同じようにトレードを行っている投資信託です。

単純に莫大な資金力を持つFXのプロと考えて良いので、けっこう相場を動かしてきます。

気付かれないように仕込み、個人トレーダーを焼き払う

冒頭でも書いた「大口に焼かれた」ケースというのは、ほとんどの場合このヘッジファンドによるものです。

分割エントリーが基本

ヘッジファンドは莫大な資金力を持つがゆえに、分割エントリーで少しずつ仕込みを入れてきます

FXは相対取引なので、買いたいと思っても売りたい人の需要が足りなければすぐに約定できませんよね。

あまりに大きなロットでエントリーしてもすぐに約定できず、売りたい人の需要が尽きてどんどんレートが上がっていきます。そうなると損をするのはヘッジファンドです。

だから分割エントリーはヘッジファンドにとって必須なのです。

レンジ相場で仕込み、タイミングを見計らって仕掛ける

ではその例を挙げてみましょう。

レンジ相場を形成している時、そこで分割して少しずつ買いポジションを溜めていきます

そしてタイミングを見計らってドカッと買い注文を出して、売り需要が追いつかなくなることでレートを押し上げ、上昇トレンドのきっかけを作るわけです。

もちろん含み益も分割決済。それなりに上がってきたところで部分利確&売りポジションの仕込みに入ります。

そしてトレンドに乗り遅れた人や高値掴みをした個人トレーダーの損切りを巻き込みつつ、売りポジションでも利益を出すわけですね。

ヘッジファンドへの対策

分割で少しずつポジションを蓄えてくるので、なかなかチャートばかりを見ていては気づきにくい動きですよね。

でも、手のうちようがないのかというとそうでもありません。

ヘッジファンドのポジション情報を調べよう

実は、ヘッジファンドのポジション情報を見ることができるサイトがあります

「IMM通貨先物ポジション」と検索すると、いろんな証券会社が情報をグラフ化してわかりやすく掲載してくれているのがわかりますね。

外為どっとコムが提供しているIMM通貨先物チャート
※Non-Commercial(投機筋)と書かれているものを確認しましょう

ただし発表されるのが毎週金曜日で、その週の火曜日までの大口のポジションが見られるというものなのでタイムラグがどうしても出てしまうのが難点です。

ですが大口にどれくらいポジションが溜まっているかを確認することで、大まかな動きを予測することは可能ですのでチェックする癖をつけておきましょう。

例えば、買いに大きく傾いてポジションが溜まっている場合、近いうちに決済の売り注文で大きく相場が動く可能性があるということです。

何も知らずにトレードする場合に比べて、大口投資家の手の内という大きなヒントを得ることができます。

有事の際に相場が大きく動く理由

災害

少し話が変わりますが、災害や経済ショックがあったときに通貨高になることがよくあります

これは株などのリスク資産から安全資産である円やドルなどの通貨に資金移動が行われるという理由もありますが、他の要因によるものが大きいです。

ヘッジファンドは返金に追われる

ヘッジファンドは顧客から預かったお金を運用しているため、こういった経済ショックや災害時にはリスクを回避するために資金を引き出したいという人が現れます

そんなときには、返金するために現金を用意しなければいけませんよね。

つまり株や債券などの保有している資産を売って現金に換える必要があるわけなので、通貨高の原因になります。

こんなふうに、何かが暴落したときに株や国債などいろんな金融商品を巻き込んで値下がりする現象が起こるわけです。

機関投資家は支払い用に現金を用意しなければいけない

たとえば保険会社は、災害時には加入者に保障金を支払わなければいけないため、かなりの額の現金が必要になります。

つまり資産を売って現金に換えるわけですから、通貨高を引き起こす要因になります。

災害が起こると経済がダメージを受けるため、その国の通貨は売られやすいと考えられても不思議ではありませんが、実はこういったメカニズムで逆に通貨高を引き起こすこともあるのです。

日本でも3.11の大震災が起こったあと円高に動いたのは、被災者へ支払うお金(円)が大量に必要になったために円への換金が進んだことによるものだったと考えられます。

実需筋も月末の相場を動かす要因

Export

大口投資家というと、機関投資家やヘッジファンドが大きく相場を動かすのは間違いないですが、月末に相場が大きく動きやすいという点では、実需筋も無視できないでしょう。

機関投資家やヘッジファンドはお金を増やすための投資を行い「投機筋」と呼ばれますが、そうではなく単に通貨の両替をしたいだけの「実需筋」という存在も忘れてはいけません。

たとえば日本から世界へものを輸出する企業の場合、売上はドルで入ってきますね。

ただし、材料の仕入れや従業員への給料、税金など、日本円で支払わなければいけないお金もあるため、売上のドルを日本円に両替しなければいけません

この両替のタイミングが月末になることが多い、ということです。

ドル円のレートがいくらだから、というのではなく、どんなレートであっても必要だから両替をしてくるため、こちらもテクニカル無視の動きといえるでしょう。

まとめ

今回はFXトレードの世界で生き残るために無視できない「大口投資家」についてピックアップして説明してみました。

  • 機関投資家やヘッジファンドが莫大な資金力でもって相場を主導している
  • 機関投資家は長期的な順張り投資、ヘッジファンドは大量の資金でガッツリFXをやっているプロ集団
  • 月末の機関投資家の動きに注意
  • ヘッジファンドのポジション情報を監視して、焼かれるリスクに備えよう

これらを理解して大口投資家たちの動きに注目することで、焼かれるリスクを軽減できるどころか、大口投資家が作った相場の波に金魚のフンのようにくっついて利益をあげることができるようになるでしょう。

すぐにできることとして、試しに「IMM通貨先物ポジション」と検索し最新のヘッジファンドのポジション情報を眺めてみてくださいね!

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